実際に休職・退職をした人の声を伝えるシリーズ「休んで良かったこと、退職して良かったこと」では、実際に休職や退職を経験した方の声を体験談として紹介していきます。
今回は20代でエンジニアとして働いていたKさん(仮名)にインタビューを行いました。
Kさんは双極性障害Ⅱ型の診断を受け、1年半ほど休職した後、リワークに通い復職されたご経験があります。
Kさん、今日はよろしくお願いいたします。
はじめまして。数年前に休職した体験がどなたかの手助けになればと思います。
よろしくお願いします。
自己紹介と状況について
どんな仕事をしていましたか?
休職したときはWebサイト制作の仕事をしていました。働くことも仕事自体も大好きでした。
当時の年齢や状況を教えてください
当時23歳で一人暮らしでした。仕事はかなり忙しく充実していましたが、ストレスにはなっていなかったと自分では思っていました。
診断は最初はうつ病でしたが、後に双極性障害Ⅱ型と診断されました。他にも買い物依存症、過食症がありました。
どんな経緯で「休もう」と考えるようになったのでしょうか?
大きな理由としては主治医に休職を勧められたことでした。
仕事だけが生きがいだったので、休むなんて絶対に嫌というのが正直なところでした。しかし半年弱の間時短勤務を続けても症状が改善せず、むしろ悪化していることを受け入れ、「今一番優先すべきことはなにか」を上司と一緒に考え、休むことに集中するべきと結論を出し、休職することに決めました。
休職に至る具体的な経緯としては、6〜7月頃から不眠や集中力低下などの症状が出はじめ、8月にうつ病と診断されてすぐに時短勤務(フルタイムから6時間へ)に移行しました。
年末まで仕事もセーブしながら過ごしましたが改善が見られず、翌年1月から休職となりました。
休む前の気持ちや状況について
どんな心や体のサインが出ていたのでしょうか?
まったく覚えていないというのが正直なところです。
当時の自分は立ち止まらずひたすら突っ走ることが正しいと思っていたので、自分の体調のモニタリングやセルフケアなどはしたことがありませんでした。
休むことに対して不安を感じることはありましたか?
しっかり考えた上で休職する事実に納得したはずでも、休むことに対する抵抗感はとてもありました。
あまり考えないようにしていましたが、甘えだとも思っていました。でも事実、次のステップとして休職をしなければ次に進まないとも思ったので、諦めて休むことにしました。
休むことに対して、周りの反応はどうだったのでしょうか
会社は前向きにサポートする姿勢でした。特に上司は相談相手になってくださり助かりました。
自分は完璧主義なので「休むなんて」という考えでしたが、会社や上司が肯定してくださったので、悪いことじゃないんだと思えました。
休んだ時に感じたこと
休みはじめて最初の頃はどう過ごしていましたか?
とにかく何もできませんでした。気力がないので仕事以外では何もできない状態だったので、布団の中で動画を見たり音楽を聴いてぼーっと過ごしていました。
罪悪感や焦りなどはあったのでしょうか?
最初の頃は焦りとイライラが多かったと思います。
最初、休職はとりあえず1ヶ月という話になっていました。延ばしても全然いいよ、というスタンスでしたが、とにかく早く戻りたい気持ちが強かったです。
そのため、1ヶ月で戻れるだろうか、主治医はOKしてくれるだろうか、といったことを多く考えてイライラしていました。結局期間が2ヶ月になり3ヶ月になり、最終的には1年半休みましたが、3ヶ月くらいで諦めがついて、あまりそういったことは考えなくなりました。
仕事から離れて“何もしない”時間を過ごしてみて気持ちの変化はありましたか?
何もしなくても意外と生活していけるんだなと驚きました。
また、病気の症状でとにかく無気力なのでトイレと食べること以外で立ち上がることがなかったくらいなのですが、それなりに毎日過ごせていたので、卑屈になることはありませんでした。
「休んでよかった」と思えた時のこと
休職してから体調は良くなりましたか?
1年半休職しましたが、体調自体は劇的に改善はしませんでした。
ですが、最終的にリワークセンターというところに通い、いろいろな本を読んだりメンタルのセルフケアについて学ぶ機会がありました。
そこで自分が今までセルフケアを行わなかった問題に向き合ったり、調子を維持したり前向きに考える方法などを習得できました。
復職に向けて自信がついたり、自分の生き方を大きく変えるきっかけになったので、最終的には休職して本当によかったと思っています。
休職した後の気持ちの変化をもう少し詳しく教えてください
仕事をしていたときは1日があっという間に過ぎてしまい、ただ流れのままに過ごしていたことに気づきました。1日をなんとなく過ごしていたことを痛感しました。
忙しいとなかなか余裕を持つことは難しいですが、もっと自分のことを考えて大事にすべきだったと思っています。
今はなるべく毎日体調を振り返るようにしたり、いつもと違うなどの体調の変化を見逃さず対処するようにしているので、復職して2年ほど経ちますが、大きく体調を崩すようなことは起こっていません。
復職された時、以前と働き方は変わったのでしょうか?
まず、復職後は時短勤務で、正社員からパートになってしまったことにかなり悩みました。
しかし自分の体調を整えるには最適な環境だったと思うので、それはメリットだと思います。仕事もしながらセルフケアをしていく練習ができたと思っています。
結果的に、復職してすぐの環境がよかったので、それが土台となり今も継続して働けていると思っています。
休職や退職を迷っている方に伝えたいこと
今、働いていて、つらさを抱えている人に一言お願いします。
今まで働いていたのに休職を選択することはとても勇気がいります。
個人的には、主治医に休職を勧められているなら従うべきだと考えています。理由は何よりも説得力があるからです。
もし休職しようか悩んでいる方は、休職するしないの判断は一度主治医に任せてしまってもよいかもしれません。自分で考えても仕方ないときはあるので、ときには「考えるのをやめる」ことも、ひとつの選択肢だと思います。
そして、休むことは甘えじゃないし、逃げでもありません。
健康、命、人生はそれ以上に大切なものです。自分を一番大切にできるのは自分だけです。
みなさまにとってよい選択ができることを願っています。
最後に、当時の働いていた自分に伝えたいことはありますか
「回復のカギは薬じゃなくて自分の考え方を変えること」です。
これに早く気が付きたかったと思います。
無理にポジティブになったり元気に振る舞うわけではなく、例えば完璧主義すぎるのであればある程度の落とし所で自分を納得させる練習をするなどです。
自分の考え方を変えるきっかけになったのは、病気についての本を読んで自分のことを少しずつ理解できたことです。Kindleのサブスクなどで無料で読めるメンタルヘルスの本はたくさんあるので、そういったものを読むのも良いと思います。
精神疾患になると脳機能が低下するので文章が読めなくなる方も多いと思います。自分もまったく読めなくなってしまいましたが、紙にメモを取りながら読むことでなんとか理解しながら読んでいました。時間はかかりますがおすすめです。
Kさん、今日はどうもありがとうございました。
ありがとうございました。
まとめ
Kさんのお話しの中で「自分の考え方を変えること」がとても印象的でした。
休むことを受け入れ、自分を見つめ直したからこそ、自分の体調の変化にも気付けるようになり対策ができるようになってきたということを感じました。
そう思うと「休むことは自分としっかり向き合える時間」と捉えることもできますね。
自分を一番大切にできるのは自分だけ、本当にその通りだと感じます。